運動をがんばる子どもたちにとって、こまめな水分補給はとても大切。とくに汗をかきやすい夏場は、水だけでなく塩分や糖分も一緒に補えるスポーツドリンクが役立ちます。
この記事では、家にある材料でつくれる手作りスポーツドリンクのレシピや、運動中におすすめの飲み方、市販品の選び方のヒントなどを、フードコーディネーターの視点からわかりやすく紹介します。
さらに、手作りスポーツドリンクのレシピ動画も掲載していますので、ぜひ合わせてご覧ください!
スポーツドリンクには種類がある?アイソトニックとハイポトニックの違い

「スポーツドリンク」とひと口に言っても、実は成分バランスによって種類が分かれていることをご存じでしょうか?
市販されているスポーツドリンクは主に次の2タイプに分類され、それぞれ吸収スピードや飲むタイミングに違いがあります。運動の前後や気温・湿度のコンディションによって、適したタイプを選ぶことが、効率的な水分補給にはとても大切なんです。
- アイソトニック(等張液):体液に近い濃度で、安静時や運動前に適している
- ハイポトニック(低張液):体液よりも薄めで、発汗後の水分補給に適している

この2つの違いを左右しているのが「浸透圧」という体への吸収スピードに関わる考え方です。
「浸透圧」ってなに?
「浸透圧」はもともと科学的には「水が薄い側から濃い側へ自然に移動しようとする力」のことを指します。
スポーツドリンクの場合は、「体の中の水分と飲み物の中の水分の濃さの差によって、水分が体に吸収されやすいかどうか」という意味合いで使います。



つまり、飲み物の中の成分(糖分や塩分)が体液の濃さに近いか、それより薄いかで、体がその水分をどう取り込むかが変わるということです。
濃すぎる飲み物は体が吸収しにくくなる。ちょうどよい〜薄めの濃度の飲み物は、体にスッと吸収されやすい。という感じ。
そのため、運動前後などシーンによって、どちらのタイプを選ぶかが変わってきます。
種類別に見るスポーツドリンクの特徴
アイソトニックとハイポトニックの特徴やおすすめのタイミングや飲用シーンをまとめました。
アイソトニック飲料
- 濃度:体液とほぼ同じ
- 吸収スピード:ややゆっくり
- おすすめのタイミング:運動前、運動後
- 向いている場面:軽い運動、日常の水分補給
- 主な飲料例:ポカリスエット、アクエリアス、ボディメンテ


ハイポトニック飲料
- 濃度:体液よりうすい
- 吸収スピード:速い
- おすすめのタイミング:運動中、大量に汗をかくとき
- 向いている場面:部活、真夏の外遊び、熱中症対策
- 主な飲料例:ポカリスウェットイオンウォーター、アクエリアス・ゼロ、アミノバリュー


手作りスポーツドリンクのメリットとは?
市販のスポーツドリンクには、それぞれ特徴があり便利ですが、手作りスポーツドリンクにも注目が集まっています。自分や家族の好みに合わせて味や塩分・糖分の量を調整できるほか、保存料などの添加物を避けられるのが大きなメリットです。
- 必要な分だけすぐに作れる:その日の体調や運動量に合わせて、いつでもフレッシュ!
- コスパがよい:特別な材料は不要。家にあるもので作れて経済的!
- 味を調整できる:甘さ・酸味・塩分を自分好みにカスタマイズ!
- 添加物なし:保存料や着色料を避けて、安心・安全!



こうした手作りならではの良さを活かして、ぜひ毎日の水分補給に取り入れてみてください。体調や季節、シーンに合わせて柔軟に対応できるのが、手作りスポーツドリンクの大きな魅力です。
基本のスポーツドリンクレシピ6選


身近な材料で手軽に作れる、シンプルなスポーツドリンクのレシピを6つまとめました。作り方はふた付きの容器に材料を全部入れて、振って混ぜるだけ。
容器は100円ショップなどにもありますが、丈夫さやふたの密閉度の高さでおすすめの容器は、プロテインシェイカーです。


ここで紹介する①〜⑤は、体液に近い濃度で水分や電解質を補える「アイソトニックタイプ」。運動前や軽い運動後の水分補給におすすめです。
⑥は、水分が素早く吸収される「ハイポトニックタイプ」で、運動中や大量の汗をかいた後にぴったり。
どれも手軽に作れるものばかり。味の好みやシチュエーションに合わせて、お気に入りを見つけてくださいね。
①基本のスポーツドリンク
- 水…500ml
- 食塩…1g
- 砂糖…20g
- レモン汁…大さじ1
シンプルでクセのない味わいが魅力の、定番レシピ。スッと体にしみわたる飲み口で、どんなシーンにも使える万能タイプです。
朝の支度中やお出かけ前にサッと用意して、子どもの外遊びや部活の前後に持たせるのもおすすめ!
②クエン酸入りで疲労回復効果!
- 水…500ml
- 食塩…1g
- 砂糖…20g
- クエン酸…1.5g
クエン酸は疲労感を軽減するといわれる成分。汗と一緒に元気もチャージ!
酸味がキュッと効いた、シャープな味が特徴。運動や外遊びの後、少し疲れた時にぴったりのドリンクです。
クエン酸を使ったスポーツドリンクの作り方を動画でも公開しています。今回の動画ではきび砂糖で作っていますが、お好みの砂糖を使ってください。
③りんご酢とはちみつ入りで甘酸っぱい味わい!
フルーティーなりんご酢と、砂糖よりコクのあるはちみつを使った甘酸っぱいスポーツドリンクです。
- 水…500ml
- 食塩…1g
- はちみつ…16g(大さじ1/2強)
- りんご酢…大さじ½
スポーツドリンク×お酢ドリンクのいいとこどり!
りんご酢の自然な酸味とはちみつの優しい甘さが絶妙にマッチした、飲みやすいスポーツドリンクです。市販の甘めのドリンクが苦手な方にもおすすめで、さっぱり飲めて口の中もリフレッシュ♪
④フルーツジュースを加えて飲みやすさナンバーワン!
- 水…400ml
- グレープフルーツジュース(100%)…50ml
- 食塩…1g
- 砂糖…20g
- レモン汁…大さじ1/2
子どもも飲みやすいフルーティーな味わいで、ゴクゴク飲める1杯。



グレープフルーツジュース以外にもオレンジ、りんごやパイナップルジュースなどお好みのフルーツジュースでいろいろと試してみてくださいね。ピクニックのお供にもおすすめ!
⑤麦茶で作るスポーツドリンク
- 麦茶…500ml
- 食塩…1g
- 砂糖…20g
ミネラル豊富なイメージのある麦茶。運動時に飲む方も多いと思いますが、塩と砂糖を少し加えることで、水分やミネラル、エネルギー源(糖分)を効率よく補給できるドリンクに大変身!
⑥経口補水液の作り方
- 水 …500ml
- 食塩…1.5g
- 砂糖…10g
- レモン汁…大さじ1
このレシピは、体調を崩したときや大量に汗をかいた後の水分・塩分補給に役立つ「経口補水液」を参考にしています。一般的なスポーツドリンクより糖分を控えめにしつつ、塩分をやや多めに調整しているため、体への吸収がスムーズです。
味は少し塩気を感じますが、体調管理のためにしっかり水分補給したいときにおすすめ。



冷やして飲むと飲みやすくなります。レモン汁はなくてもいいですが、酸味があったほうが飲みやすい方にはおすすめです。
経口補水液とスポーツドリンクの違いは?
経口補水液とは、脱水症状の回復を目的とした「経口補水療法」で使われる飲み物です。
スポーツドリンクに比べて、塩分濃度が高く、糖分は控えめに設計されているため、素早く体に吸収されるのが特徴です。
そのため、軽度から中度の脱水症状のときの飲料として適しており、スポーツ中の水分補給としてはあまりおすすめできません。
参考:スポーツドリンクとは何が違いますか?|よくあるご質問|経口補水液オーエスワン(OS-1)|大塚製薬工場)



経口補水液は、所ジョージさんのCMでもおなじみで、熱中症対策としても注目されています。息子のスポーツ少年団でも救急箱に常備しています。




スポーツドリンクに関するよくある質問(FAQ)
Q. 砂糖はどんな種類がいいですか?
A. 手作りスポーツドリンクには、白砂糖やグラニュー糖が一般的で使いやすいです。はちみつやメープルシロップ、きび砂糖など、自然由来の甘みもおすすめですが、風味が強く出るので好みに合わせて調整してください。どの砂糖を使っても、体への吸収に大きな違いはありませんので、手に入りやすく続けやすいものを選ぶとよいでしょう。
Q. 手作りスポーツドリンクは砂糖なしでも作れますか?
A. スポーツドリンクには「水分」「塩分」「糖分」の3つの要素が必要です。糖分は体が水分や塩分を効率よく吸収するために大切な役割を果たしています。砂糖がない場合は、はちみつやフルーツジュース、メープルシロップなど、自然な甘みのあるものを代わりに使うことができます。ただし、糖分が少なすぎると吸収が遅くなることもあるため、味を見ながら調整しましょう。
まずはレシピ通りに作ってみることをおすすめします。
Q. クエン酸はどこで買えますか?
A. ドラッグストアやネット通販で購入可能です。食品添加物として使える「食品グレード」のクエン酸を選んでください。掃除用のものは飲料用には適さないので絶対に使わないでください。
Q. 手作りスポーツドリンクは子どもが飲んでも大丈夫ですか?
A. 紹介しているレシピは子どもでも安心して飲める塩分・糖分の濃度で作っています。ただし、飲みすぎには注意しましょう。こまめに少量ずつ飲みましょう。1日に500ml程度が目安です。
Q4. 作り置きはできますか?
A. 手作りドリンクには保存料が入っていないため、作ったら当日中に飲み切ることをおすすめします。冷蔵保存しても長時間はもたないので、大量に作らず、飲み切れる分量ずつ作るのが安心です。
Q. 飲むときの適温は?
A. 5〜15℃くらいの冷たさがおすすめです。体への吸収がよく、体温も適度に下げてくれるので、スポーツ中や後の水分補給にぴったりです。
Q. スポーツドリンクにはどんな水筒を使えばいい?
A. スポーツドリンクの塩分が原因で金属製の水筒がサビが生じることがあるため、スポーツドリンク対応のフッ素コーティングが施された水筒か、プラスチック製の水筒を使うのがおすすめです。購入時には、取扱説明書やメーカーのWEBサイトで「スポーツドリンク対応」と明記されているかを確認しましょう。




家で簡単に作れる手作りスポーツドリンクで、こまめな水分補給を!
部活や外遊びで汗をかく子どもたちの水分補給には、手作りスポーツドリンクがとてもおすすめです。市販のものよりも甘さや塩分を自分好みに調整できるので、飲みやすさも安心感もアップ。
今回ご紹介した6つのレシピは、運動前後や発汗時のシーンに合わせて使い分けられるアイソトニックタイプとハイポトニックタイプの両方をカバー。お子さんの体調や好みに合わせて、ぜひ試してみてくださいね。
毎日のこまめな水分補給で、元気に運動を楽しみましょう!