揚げたての唐揚げやとんかつっておいしいですよね!でも家庭で揚げ物調理って、油もたっぷり使うし、揚げ鍋を出すのも面倒だし・・・なかなかハードルが高くないですか?
そんな時はぜひ普段使っているフライパンで揚げ物をしてみてください!コツさえつかめば、フライパンでも美味しい揚げ物は十分作れます。

この記事ではフードコーディネーター歴15年以上の私が、家庭で実際に試してわかったフライパンで揚げ物をする時のポイントや注意点について解説します。
揚げ物調理に向いていないフライパンについても解説するので、ぜひ最後まで読んでくださいね。
フライパンで揚げ物をするメリット



フライパンで揚げ物をするのは、実はとても手軽でメリットがたくさんあります。
ここでは、そんなフライパン調理ならではの魅力や便利なポイントをわかりやすくご紹介します。
広口で揚げやすい
フライパンは口が広く開いているため、かき揚げや天ぷらなどの形を崩さずに揚げやすいのが特徴です。材料を均一に並べやすく、揚げムラも防ぎやすいので、初心者でも扱いやすい調理器具です。
少ない油で手軽に揚げられる
揚げ鍋に比べ、フライパンは少ない油でも揚げ物調理が可能です。
使用する油の量が少ないと、揚げ終わったあとの油の処理や片付けが格段に楽になり、忙しい日常でも負担が少なく済みます。
また、油の量が少ない分、加熱にかかる時間が短縮されるため、適温(約170〜180℃)に素早く達し、調理全体の時短につながるのも大きなメリットです。



使う油の量が抑えられることで節約にもなり、家計にやさしい調理法ともいえますね!
フライパンで揚げ物をする際の注意点
フライパンで揚げ物をする際に気をつけたい、油はねや温度管理などのポイントをわかりやすくまとめました。安全においしく調理するための基本を押さえましょう。
油はねに注意!
フライパンは揚げ鍋と比べて油の量が少ない分、どうしても油が飛び散りやすくなります。油はねの主な原因は、食材に含まれた水分や空気が加熱されて膨張し、一気に弾けることにあります。そのため、揚げる前に食材の水分をしっかりふき取るなど、下準備がとても大切です。
特にししとうやイカ、エビなど、中に空気がこもりやすい食材は、包丁で小さな切り込みを入れておくと安心です。こうすることで、内部の水蒸気の逃げ道ができ、油はねを防ぐことができます。
30cmほどの長さがある菜箸やトングを使うと、油はねを避けながら安全に作業できます。それでも不安な場合は、市販の油はね防止ネットを活用するのもおすすめ。
温度管理がやや難しい
鍋に比べて油の量が少ない分、温度が下がりやすいので、こまめな温度チェックがポイント。
このあとに紹介するちょっとしたコツでカラッと仕上がります。
フライパンで揚げ物を美味しく仕上げるコツ
揚げ物をカラッと美味しく仕上げるための油の量や温度管理、下ごしらえのポイントをチェックしてみましょう。
素材の水分はしっかりふき取る
食材の表面や下ごしらえでついた水分は、しっかりキッチンペーパーでふき取ってから揚げましょう。水分が残っていると油はねやベチャつきの原因になります。
油の量は適量を
一般的に、フライパンで揚げ物をする場合は底から3cm以上、最低でも500g(約550ml)程度の油を使うのが理想です。油が多いほど温度が下がりにくく、揚げムラやベチャつきを防げます。
揚げ焼きの場合は、食材の厚みの半分程度(1〜2cm)の油でも十分。食材の下半分が浸かるくらいを目安にしましょう。
油の温度管理が成功のカギ
油の温度は170〜180℃が基本。温度計がない場合は、パン粉や菜箸の先を油に入れて「シュワッ」と泡が立つかで判断しましょう。
火加減のコツ
食材を入れる直前はやや強めの中火、入れた後は中火、仕上げにまた強めの中火にすることで、油の温度を保ちやすくなります。
食材の入れすぎに注意
一度にたくさん入れると油の温度が一気に下がります。一度に揚げる量はフライパンの面積の半分程度までに留めましょう。
食材は薄く、均一に広げる
フライパンでの揚げ物調理は、中まで火がとおっていないという失敗もよくあります。食材は薄く均一に広げて中までしっかり加熱しましょう。
揚げた後はしっかり油切り
揚げたての食材は網やバットにのせて油を切ることで、余分な油を落としカラッと仕上がります。
揚げ物におすすめのフライパンは?
フライパンには様々な形状や素材があります。揚げ物調理との相性の良いフライパンはどんなものでしょう?
深型フライパン(6〜7cm以上)
油はねが少なく、安定して揚げ物ができます。煮物や炒め物にも使えて万能です。
貝印 KAI 深型フライパン 24cm
深さがしっかりあるタイプなので、フライパンで揚げ物をしたい方にとって使い勝手のよい一品です。
一般的な浅型フライパンと比べて、油が跳ねにくく、食材を入れたときの油の飛び散りが抑えられるのが深型の大きなメリット。また、油の深さも十分に確保できるので、からあげやエビフライのような、ある程度しっかりと油を使いたい揚げ物にも対応しやすい設計です。
さらに、底面積が広すぎず、油の量をムダに増やさずに済むため、節約しながら調理ができるのも家庭向き。焦げつきにくいコーティング仕様で、後片付けが簡単なのも嬉しいポイントです。



「揚げ物のためにわざわざ鍋を出すのはちょっと…」という方には、炒め物から揚げ物まで幅広くこなせる深型フライパンは、キッチンの強い味方になってくれるはずです。
鉄製・ステンレス製フライパン
熱伝導が良く、温度が安定しやすいので、カラッと揚がります。
ただし、鉄製はお手入れが必要なので、初心者には少しハードルが高いかも。使い始めの「空焚き」「油ならし」や日頃のお手入れ方法を確認してから挑戦してみましょう!
藤田金属 鉄フライパン 26cm
揚げ物をカラッと美味しく仕上げたい方にぴったりの鉄製フライパンです。
鉄フライパンの一番の魅力は、高温に強く、温度が下がりにくいこと。揚げ物では、食材を入れた瞬間に油の温度が下がるとベチャっとなりがちですが、鉄はしっかりと熱を保ってくれるので、衣がカリッと香ばしく揚がります。
この「こだわり職人」シリーズは、日本製ならではの丁寧なつくりとバランスのよさが魅力。取っ手も持ちやすく、重すぎないので家庭での揚げ物にも使いやすい仕様です。
「鉄で揚げると一味違う」——そんな声にも納得できる、揚げ物好きにこそおすすめの一本です。
ZWILLING ステンレスフライパン 24cm
ステンレス製のフライパンは、熱伝導が穏やかで揚げ物にぴったりの素材です。
火のあたりがやさしく、フライパン全体にじんわりと熱が伝わるため、油の温度を一定に保ちやすく、食材をムラなくカラッと揚げることができます。
このZWILLINGのフライパンは、底面にしっかりと厚みのある多層構造を採用しており、IHでもガス火でも効率よく加熱できるのが魅力。



さらに本体の剛性が高く、長く使っても歪みにくい設計になっているので、揚げ物のような高温調理でも安心して使い続けられます。
注ぎ口のあるフライパン
揚げ物初心者にも扱いやすいのは注ぎ口付きのフライパンです。
揚げ物調理で使い終わった油を容器に戻す際に、注ぎ口があることで油がこぼれにくく、キッチンを汚さずに済むのが想像以上に便利なんです!
フライパンで揚げ物をすると、使った油の後処理が悩みの種ですが、このフライパンなら、スムーズに油を移し替えられるので、あと片付けのストレスを減らせます。
ティファール 深型フライパン 22cm
フライパンで揚げ物に向かないタイプは?
ここでは、揚げ物調理に向いていない、避けるべきフライパンについても解説します。
NGその1:直径20㎝以下の小さいなフライパン
直径が20㎝以下のフライパンは、油が十分に入らず温度が急上昇しやすいため揚げ物には不向きです。
特にガスコンロの場合は、五徳の上でグラグラして油がこぼれてしまったり引火のリスクもあります。安全面からも小さなフライパンを揚げ物には使わないでくださいね!
NGその2:深さが4cm未満の浅型フライパン
大きさが十分だとしても、フライパンの深さが4cm未満だと、油がはねやすく、やけどやコンロ周りの汚れの原因になります。揚げ物調理にはある程度の深さがあるフライパンが安心です。
NGその3:コーティングが劣化しているフライパン
コーティング加工のフライパンは、メーカーが定める耐熱温度(例:200℃程度)を守れば揚げ物にも使えます。ただし、コーティングが剥がれていたり、傷が目立つフライパンは高温調理でさらに劣化が進みやすく、焦げつきやすくなります。
耐熱温度を確認し、コーティングがきれいな状態のものを選びましょう。
フライパンで揚げ物調理|よくある疑問に答えます!
Q. 卵焼き器で揚げ物はできる?
一見、少量の油で手軽に揚げられそうに見える卵焼き器ですが、実は危険が多いので卵焼き器での揚げ物調理はおすすめできません。
油が周囲にはねやすく、やけどのリスクが高いうえ、底面積が小さいため油の温度が急に上がってしまい、引火の危険もあります。
Q. 揚げ物と揚げ焼きの違いは?
揚げ物は食材が浸る程度のたっぷりの油で揚げる調理法。鍋底から5㎝程度が目安です。
揚げ焼きは食材の半分程度が油に浸っている状態で調理します。揚げ焼きは手軽ですが、揚げ物に比べて底面が焦げやすく、カリッと感はやや控えめ。
Q. 少ない油で揚げ物がベチャっとなる時は?
油の温度が低い、もしくは途中で下がっている可能性大。入れる前の温度をしっかりと確認し、食材を入れすぎず、温度をキープするのがポイント。
一度食材を入れたら表面が固まるまで触らないことも大切です。
まとめ
フライパンでの揚げ物は、初心者でもコツさえつかめば手軽に美味しく仕上がります。
大切なのは、深さのあるフライパンや底面にしっかりと厚みのあるフライパンを選ぶこと・コーティングの状態をチェックすること・温度管理をしっかりすること。



油はね防止グッズも活用しながら、ぜひ気軽にチャレンジしてみてください。この記事を参考に、ご家庭での揚げ物調理のハードルが下がったらうれしいです。

