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加東英里子
フードコーディネーター/ライター
フードコーディネーター歴15年以上。これまでに1,500本以上のレシピをWebや書籍でご紹介してきました。
料理の基本やちょっとしたコツ・トレンドまで、誰にでもわかりやすく、楽しく伝えるのがモットーです。

母として、毎日のごはん作りに役立つリアルなアイデアもシェアしています。

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塩を制する者は料理を制す!塩の種類や上手な使い方

塩の使い方ガイド
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基本の調味料といえば、まず「塩」を思い浮かべる方も多いと思います。

どの家庭のキッチンにも必ず塩が常備されているほど、料理には欠かせない存在ですよね。

ただ、塩は「味をつけるだけのもの」と思っている方も多いかもしれません。実は、塩にはさまざまな種類があり、それぞれ特徴が違います。使い方次第で料理の味や食感がグッと変わるんです。

この記事では、塩の基本的な働きや種類、選び方のポイントから、料理をもっと楽しくするフレーバーソルトまで、料理初心者の方にもわかりやすく紹介します。

目次

塩の役割とは?料理での基本的な働き

「塩=味つけ」と思いがちですが、実はそれだけではありません!

塩には、料理の美味しさをぐっと引き出す、とっても大切な4つの役割があります。

これを知っておくだけで、普段の料理がぐんと美味しくなりますよ。

1.味をつける(=基本の調味)

まずは王道の役割。塩を使うことで、素材にしっかり味がつき、料理全体の味が引き締まります。

たとえば、シンプルな塩むすびや塩ゆで野菜が美味しいのは、塩が素材本来の味をちょうどよく引き出しているから。

ただし、「たくさん入れればおいしくなる」というわけではありません。

「ちょうどいい塩加減」がとても大切で、ぴたっと決まると料理の完成度がぐっと上がります。

【豆知識|塩で味覚が研ぎ澄まされる!】
私たちの味覚は、「塩味」があることで、甘み、酸味、うま味なども感じやすくなります。塩は単に味をつけるだけでなく、料理全体の味のバランスを整える存在なのです。

2. 素材のうま味・甘みを引き出す

塩には、素材が持つ本来のうま味や甘みを引き立てる力もあります。

こんな経験、ありませんか?

  • スイカにひとつまみの塩をかけると、甘みがぐんと引き立つ
  • ぜんざいやあんこに少し塩を加えると、甘さがより際立つ

これは「味の対比効果(対比味覚)」と呼ばれるもので、ある味が別の味を引き立てる働きのこと。

調味料による味の対比効果にはこのような例があります。

  • 塩気があることで甘さがより強く感じられる(スイカや和菓子など)
  • 苦味のあるコーヒーに砂糖を加えると、まろやかに感じる
  • 酸味の強いドレッシングに少し甘味を加えると、バランスがよくなる

こんなふうに塩を使うことで、味全体のバランスが整い、素材の魅力を引き出すことができるんです。
さらに、トマトやきのこ、肉・魚に塩をふると、味が濃く感じるのも、塩がうま味成分(アミノ酸など)を引き出してくれるからなんです。

3. 水分調整で食感と臭みをコントロール

鯛に塩を振る

塩には、食材の水分を引き出す作用があります。これは「浸透圧(しんとうあつ)」というしくみによるもの。

たとえば、きゅうりに塩をふると水が出てくる、というのはよく知られた現象ですよね。これは、塩によって外側の塩分濃度が高くなることで、食材の中の水分が外へと移動するためです。

この働きは料理のいろいろな場面で活躍しています。

野菜の下ごしらえ

 きゅうりやキャベツ、なすなどに軽く塩をふると、水分と一緒に余分なえぐみも抜けて、食感もよくなります。漬物や浅漬けを作るときにも塩の力で野菜の水分が抜けて、調味液がしみ込みやすくなります。

塩分濃度の目安:0.5〜1%程度(下ごしらえ)、2〜3%程度(漬物)

肉や魚の下味に

 塩をふって少し置くことで、表面の水分が抜け、臭みが和らぎ、旨みがぎゅっと凝縮されます。

塩分濃度の目安:1~2%程度


塩は「味つけ」だけでなく、「食感」や「臭みとり」「下ごしらえ」の面でも重要な役割を持っています。
塩の量やふるタイミングによって、仕上がりに大きな差が出ることを意識することが「塩の達人」への第一歩です!

4. 食材を長持ちさせる保存効果

塩には、食材の保存性を高める役割もあります。

古くから肉や魚、野菜の保存に使われてきたのは、塩の「脱水効果」と「殺菌作用」があるためです。

塩をまぶすことで食材の水分が外に出て、微生物が繁殖しにくい環境ができるので、腐敗を防ぐことができます。さらに塩の成分自体が菌の働きを抑えるため、食品を長持ちさせるのです。

たとえば塩漬けやぬか漬け、味噌漬けなど、日本の伝統的な保存食は塩の力を活かしたものばかり。この効果を上手に使うことで、食材を無駄なく使い切りやすくなります。

保存食の代表といえば梅干し!
昔は保存性を高めるために、塩分濃度の高いしょっぱい梅干しが主流でした。
冷蔵庫の普及により保存環境が改善され、近年では塩分控えめで食べやすい梅干しも増えていますよね!

塩の使い方|初心者でも失敗しないタイミング&コツ

塩は料理の基本調味料のひとつですが、入れるタイミングや順番で味や仕上がりが大きく変わります。

特に砂糖との順番や調理法によって塩の効果が変わるため、コツを知っておくと料理の味が格段にアップします。ここでは、初心者でも簡単に実践できる塩の使い方のポイントをわかりやすく紹介します。

塩と砂糖、どちらを先に入れるべき?

かぼちゃの煮物

料理の基本として、砂糖を先に、塩を後に加えるのが一般的です。

なぜなら、塩には素材の水分を引き出し、身を引き締める働き(浸透圧)があるため。

塩を先に入れてしまうと、素材がかたく締まり、あとから入れる砂糖の甘みがしみ込みにくくなってしまうのです。

一方で砂糖には、素材をやわらかくする働きがあります。

煮物などでは、まず砂糖を加えてしっかり甘みを含ませ、そのあとに塩やしょうゆなどで味を調えるのが、味を染み込ませるコツです。

たとえば、かぼちゃの煮物や煮豆なども「砂糖 → 塩」の順番が基本。
先に塩を入れると、煮てもかたくなり、甘みが中まで入らないことがあります。

この順番はあくまで「味を中までしっかり染み込ませたい料理」の場合に有効です。

炒め物などでは一度に加えても問題ないケースもありますが、素材の性質を活かしたい場合は「砂糖→塩」の順番を意識してみてください。

調理法別|塩の上手な使い方

焼く・炒めるとき

焼く場合は、塩をふるのは加熱の直前が基本です。長時間前に塩をふると、浸透圧で食材の水分や旨みが外に出てしまい、パサついた仕上がりになることがあります。すぐに加熱するなら塩をふっても問題ありませんが、時間を置く場合は避けましょう。

炒め物では、塩を加えるのは「仕上げの直前」がポイントです。早い段階で塩を入れると、水分が出てしまい、炒め物が水っぽくなりがち。シャキッとした食感に仕上げたいときは、最後にさっと塩を加えて味を調えるのがおすすめです。

ゆでるとき

野菜をゆでる際にお湯に塩を加えると、色鮮やかに仕上がります。塩が野菜の細胞壁を引き締め、加熱による色素の流出や変色を防ぐためです。

目安は水1リットルに対して約10g(小さじ2杯)の塩を、野菜を入れる直前に加えること。こうすることで塩の浸透圧が効果的に働き、野菜の食感も損なわれにくくなります。

塩の種類と特徴|どれを選ぶ?

ピンク色の岩塩

料理に使われる塩は、大きく分けて以下の種類があります。それぞれ味わいや使い勝手が違うので、目的や好みに合わせて選ぶのがおすすめです。

精製塩

精製塩は、主に海水を原料にし、不純物やミネラルをほぼ取り除いて塩化ナトリウムの純度を高めた塩です。クセがなく、塩本来のシンプルな味わいが特徴で、どんな料理にも使いやすい万能タイプです。

粒が細かく溶けやすいため、調味や下味づけに適しており、価格も手頃で家庭の基本塩として広く使われています。

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天然塩

天然塩は、海水や岩塩を原料にし、自然のミネラル分が豊富に含まれている塩です。独特の風味やコクがあり、料理に深みを加えたいときにおすすめです。主に以下の3種類があります。

岩塩


地下の岩塩層から採掘される天然塩で、結晶がやや大きめでザクザクとした食感が特徴です。ミネラルを豊富に含み、まろやかな旨みがあります。

岩塩は何と言ってもお肉との相性が抜群です!

おすすめの使い方

  • ステーキやローストビーフなどの肉料理の仕上げ
  • サラダのアクセント
  • じゃがバターの仕上げ

海水塩


地域や製法によって味や風味が異なりますが、海水を天日干しや機械乾燥で作る天然塩です。ミネラルが豊富に含まれています。

自然な甘みとまろやかさが素材の味を邪魔せず、全体の味をまとめます。

おすすめの使い方

  • 野菜の浅漬けやピクルス
  • 魚の塩焼きや煮魚
  • パスタやスープの味付け
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藻塩

藻塩は、海藻の灰を使って濾した海水を煮詰めて作る伝統的な天然塩です。海藻のミネラルや旨味が塩に移り、まろやかな甘みと深いコクが特徴です。

製法に手間がかかるため希少価値が高く、価格はやや高めですが、その風味は一度試す価値があります。素材の味を活かす料理の仕上げに使ってください!

藻塩の食べ方のおすすめは、白身魚のお刺身やお寿司です♪

おすすめの使い方

  • お刺身やお寿司
  • 冷ややっこ
  • 天ぷらの仕上げ塩
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便利な「フレーバーソルト」で、料理がもっと楽しくなる!

フレーバーソルトは、塩にハーブやスパイス、乾燥野菜などをブレンドした調味塩です。塩味と一緒に風味が加わるため、ひとふりで味が決まりやすく、料理のアクセントとして重宝します。種類も豊富で、洋風から中華・エスニック風まで、好みや料理に合わせて選べるのが魅力です。

おすすめの使い方

チキンソテーやステーキに!本格的な風味をプラス

スパイスや燻製の香りが楽しめるフレーバーソルトがおすすめ。肉の旨みを引き立て、ひと味違う本格的な味わいに。アウトドア料理やBBQにもぴったりです。

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トリュフやニンニクの風味でフライドポテトのがごちそうに

トリュフ塩やガーリックソルトで風味豊かに仕上げ、食欲をそそる特別な味わいに。手軽なホームパーティーメニューにもおすすめ!

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ハーブやレモンの風味を加えてパスタやサラダのアクセントに

ハーブやレモンのフレーバーソルトは、シンプルなパスタやサラダに香りや風味をプラス。ひとふりでワンランク上の味わいに仕上がります。

野菜炒めがプロの味に!中華風フレーバーソルト

野菜炒めには中華風フレーバーソルトがおすすめです。花椒塩や五香塩のスパイス香が野菜の旨みを引き立て、お店のような本格的な味わいになります。

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初心者におすすめの常備塩と選び方

塩は種類によって味や使い勝手が異なるため、料理初心者はまず基本の「精製塩」とお手頃価格の「海水塩」を用意するのがおすすめです。

精製塩:毎日の料理に大活躍!

クセがなく使いやすいため、調味や下味づけに万能です。価格も手頃なので、毎日の料理にぴったり。また、野菜やパスタをゆでるときにたっぷり使えるのも、安価な精製塩の大きな強みです。

海水塩:素材の味を引き立てる!

ミネラルが豊富で風味豊か。味付けの仕上げや特別な料理に使うと料理の味がワンランクアップします。

さらに、気分や料理に合わせて「フレーバーソルト」も常備すると料理がもっと楽しくなります。

初心者はまずこの3種類をそろえ、料理や気分に合わせて使い分けてみましょう。

よくあるQ&A|塩の疑問を解決!

料理に欠かせない調味料「塩」ですが、使い方や保存方法、ちょっとした疑問は意外と多いもの。ここでは、初心者でもわかりやすい塩に関する基本的な質問とその答えをまとめました。毎日の料理に役立ててください。

Q.塩に賞味期限はある?

A. 塩には基本的に賞味期限はありません。腐敗しにくく長期間品質が安定しています。ただし、湿気やにおいが移ると風味が変わることがあるので、密閉容器で湿度の低い場所に保管するのがおすすめです。

Q. パスタをゆでるお湯に塩を入れる理由は?

A. 塩を加えることで、パスタにほんのり下味がつき、ゆであがりの味がよくなります。また、塩分によって麺の表面が引き締まり、食感が良くなる効果もあります。さらに、塩が加わったお湯は沸点が少し上がるため、ゆで時間の安定にもつながります。

目安は水1リットルに対して約10g(小さじ2杯)の塩を、パスタを入れる直前に加えるのがおすすめです。

Q.料理の仕上がりがしょっぱい!塩を入れすぎたときはどうする?

A. 塩を入れすぎた場合は、まず料理の量を増やして塩分を薄めるのが基本です。スープや煮物なら水や出汁を足して調整しましょう。また、じゃがいもや豆腐、キャベツなど塩分を吸収しやすい食材を加えると塩味が和らぎます。

酸味(レモン汁や酢)を少量加えると、塩味の角が取れて食べやすくなることもあります。

まとめ|塩を味方につけて、料理上手への第一歩を!

塩は、料理の基本調味料として欠かせない存在です。さらに単なる「味付け」以上の役割を持ち、使い方や種類を知ることで料理の仕上がりが格段に変わります。

まず、塩は味を整えるだけでなく、素材のうま味や甘みを引き出す役割もあります。さらに、水分の調整や食材をやわらかくしたりシャキッとさせたりすることで、食べたときの食感をよくしたり、保存性を高めたりするなど、多彩な働きがあるんです。

塩の力を最大限に活かすには、料理に合った種類を選び、調理のタイミングや方法に合わせて使うことがポイントです。

精製塩のようにクセのない万能タイプから、ミネラル豊富で風味が特徴的な天然塩(岩塩・海水塩・藻塩)、そしてハーブやスパイスが加わったフレーバーソルトまで、塩の種類は豊富。用途や好みによって使い分けることで、料理の幅が広がり、毎日の食卓がもっと楽しくなります。

料理初心者の方も、塩の基本的な知識と使い方のコツを覚えれば、味のバランスがとれた美味しい料理を簡単に作れるようになります。ぜひ塩の力を味方につけて、ワンランク上の料理を楽しんでくださいね。

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この記事を書いた人

加東英里子のアバター 加東英里子 フードコーディネーター/ライター

フードコーディネーター歴15年以上。これまでに1,500本以上のレシピをWebや書籍でご紹介してきました。
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